| 福島市渡利・花見山のムベ |
春、アケビが咲くころ、各地の家の垣根や棚にアケビに似て小葉の数が5〜7枚の蔓植物が花を咲かせる。ムベである。アケビが冬に葉を落とすのに対し、ムベは常緑である。そのためトキワアケビの別名もある。果実はアケビに似て卵円形で紫色に熟すが、アケビのように開裂しない。 ムベは古名でウベと言われた。アケビは実の開いたウベの意味のアケウベからアケビになったものと言われている。実は甘く、昔は珍品として珍重され、藁であんだ篭に入れて朝廷に贈られた。それを苞苴(おほむべ)と言ったことからウベと略され、現在はムベと呼ばれている。 小葉は普通6枚が多いので学名の小種名はhexaphylla(6葉の、の意味) と命名されている。葉の数でアケビと区別できるが5小葉の場合はアケビと同じなので、その時は小葉の先端を見ればよい。アケビの小葉の先端は円形かやや凹形になるのに対し、ムベのそれは鋭頭である。 ムベやアケビのように葉が手のひら状に5〜7枚の小葉に分かれるものを掌状複葉と呼んでいる。アケビの仲間に小葉が3枚のものがあり、ミツバアケビという。アケビ同様、全国の山野に普通に分布している。 花は春に新葉の腋から総状の花穂を下垂させる。アケビの花は紫色であるが、ムベは白色または淡紅紫色の小花を3〜7個付ける。雌雄同株で雄花は長さ13mm位であるが、雌花はそれよりやや大きく、数は雄花よりやや少ない。 常緑であり花も可憐で美しいことから垣根や棚作りに栽培されている。今年は、栽培品では福島市渡利の花見山、いわき市フラワーセンター、郷ケ丘の民家の垣根で開花中のものを見ることができた。しかし暖地性の種であるため、東北地方では自生のものは少なく、いわき市内では小川町、植田の海岸林で自生のものが確認されている。現在知られている北限地は双葉郡富岡町である。 |
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(文:福島県植物研究会会員・理学博士 |
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